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47話 皇女と王女での女子会が始まった。

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-11-07 06:00:41

「ユウヤ様……むやみに可愛いと仰らないで下さい。求婚してるのと同じですわよっ」

 ミリアは、低く、真剣な声でそう言った。その瞳は、ユウヤをまっすぐに見据え、その言葉の重みを突きつけてくる。

「え? そうだったのか。大人しく俺は部屋に戻ってるわ……」

 ユウヤは、その言葉に心底驚き、居心地が悪くなった。とんでもない失言をしてしまったことに気づき、その場から逃げ出すように部屋へと向かった。

 よし。あとはシャルに任せておけば大丈夫だろ……持ち前の明るさと可愛いオーラで、その場の雰囲気を明るくしてくれ。そう心の中で祈るように呟きながら、ユウヤは足早にその場を後にした。

 部屋に戻ろうと踵を返したユウヤの背中に、シャルの明るく弾んだ声が飛んできた。

「でしたら……わたしもご一緒致しますわっ♪」

 その言葉に、ユウヤの足はピタリと止まった。振り返ることもできず、ただ茫然と立ち尽くす。

(は? コイツは……バカか? バカなのか? お前が来たら、この場を任せた意味がなくなるし、ミリアが嫉妬で怒り狂うだろ! 少しは考えて発言してくれ……)

 ユウヤは、額に冷や汗をかきながら、心の中で激しく叫んでいた。その場の空気を明るくしてほしいと願ってシャルを連れてきたのに、彼女の無邪気さが、事態をさらに悪化させていく。

「な、なにを仰っているのですか! シャルロッテ!」

 ソファーに座っていたミリアは、ユウヤの部屋について行こうとするシャルロッテを見て、勢いよく立ち上がった。婚約者である自分ですら、気軽にユウヤ様の部屋に入れないというのに、シャルロッテが軽々しく付いて行こうとしたことが、ミリアの嫉妬の炎に油を注いだのだ。

「ううぅ……ごめんなさい……」

 シャルは、ミリアの剣幕に怯えながら、申し訳なさそうに謝った。だが、その瞳は諦めきれないといった感じで、ユウヤの方をちらちらと見つめている。いや……そんなにちらちら見られてもダメだろ。そもそもシャルロッテは、自分がどうして呼ばれたのかを聞いてなかったのか?

「もぉ。ユウヤ様は、わたしの婚約者ですわよ」

 ミリアは、ユウヤの隣に立つと、少しだけ自慢げにそう言った。

「はぁい……」

 「えへへ……見つかっちゃった」とでも言いたげな表情でシャルが返事をすると、ミリアは、今度はユウヤの方を向いた。

「ユウヤ様も何でシャルロッテをお連れに?」

 うわ。今度は俺に飛び火? メンドイ……。ユウヤは心の中でうんざりした。っていうか、さっきミリアに理由を話したよな? 二人だけの時間が出来るだろって。はぁ……。それにシャルは、自分がなんで呼ばれたのかを理解してないし……ミリアも俺の考えを理解してくれてないし……。面倒いけど、もう一回説明して部屋に逃げるか……。

「あ……ミリアとユリの二人だけじゃ、ユリが緊張するだろ? シャルが居れば雰囲気が明るくなると思ってさ。それと、さっきミリアにコッソリと教えたよな?」

 ユウヤがそう言うと、ミリアは「ふ~ん……」といった感じでジト目で見返してきた。だが、「コッソリと教えた」という言葉を聞くと、ハッとした表情で思い出したようだ。

「え? あ、あぁ……はい、そうでしたわ。そうですね……シャルロッテ、ユリシスと仲良くして下さいますか?」

 ミリアの声は、一気に優しくなり、シャルロッテに微笑みかけた。シャルロッテは、その言葉にぱぁっと顔を輝かせた。

「はぁい。お姉様♪」

 「俺は部屋に戻ってるから何かあれば呼んでくれるかな」

 ユウヤがそう言うと、ミリア、ユリ、シャルロッテの三人は、それぞれ頷いた。ユウヤは、その言葉を合図に逃げるようにリビングを出て、自室へと戻った。重厚な扉が閉まると、外の喧騒から隔絶され、静寂が訪れる。ベッドに横になると、安堵のため息が自然と漏れた。部屋には、温かいお茶と、美味しそうな焼き菓子が用意されていた。これはミリアが気を利かせてくれたのだろう。ユウヤは、その優しさに少しだけ心が温かくなった。

 一方、リビングでは、帝国の皇女と二つの王国の二人の王女による「女子会」が始まっていた。と言っても、王女という立場上、政治が絡んでくるような恋バナなどを気軽に話せるわけがない。ティーカップを手に、世間話や、ファッション、美味しい物の話がメインになる。

 そんな中、ミリアが思い出したのか不思議に思っていたことをユリシスに聞いた。

「そう言えば、何故そんなに丈夫で斬れる高価なナイフをご購入されたのかしら?」

 ユリシスが、ふと俯きがちに話しづらそうに口を開いた。

「それはですね……隣のライナー王国のレスニー王子から度々求婚をされ、身の危険を感じるようになったからです」

 ユリシスの声は小さく震えていた。その言葉に、シャルロッテは首を傾げた。

「そうなのですか? 王子に求婚をされて隣の王国と信頼関係ができて、喜ばしいことじゃないですか」

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